今回は血液検査の中で「骨と血管に影響するミネラル代謝とホルモン」に関係するものを取り上げて見ます。
ミネラルとはカルシウム(Ca)、リン(P)、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)などのことです。これらは身体にとって丁度良い量が決まっていて、それを調節しているのが腎臓です。腎臓の働きが悪くなると余分なミネラルがうまく捨てられなくなり高リン血症や高カリウム血症となってさまざまな悪さをします。また、ミネラル代謝に必要な活性型ビタミンD3というホルモンが作れなくなるため、腸管からのカルシウムの吸収が悪くなり低カルシウム血症が起こります。
血液中のカルシウムの量が減ったり、リンの量が増えたりすると副甲状腺から「副甲状腺ホルモン(PTH)」が分泌されます。PTHは骨からカルシウムを溶かし出したり、尿中へのリンの排泄を促したりするホルモンです。しかし、腎臓が悪いとどんなにPTHが分泌されてもなかなか高リン血症や低カルシウム血症が改善されません。それでPTHが過剰に出続けることとなります。これを『二次性副甲状腺機能亢進症』といいます。
二次性副甲状腺機能亢進症になると…
十分な透析を行ない、リンの多い食事に気をつけ、処方されている薬〔リン吸着剤(カルタン、フォスブロック、ホスレノールなど)や活性型ビタミンD3製剤(フルスタン、ロカルトロールなど)やカルシウム受容体作動薬(レグパラ)〕をきちんと服用することが大切です。
【透析患者さんの目標値】
血清リン値(P):3.5~6.0 mg/dl
補正血清カルシウム値(Ca):8.4~10.0 mg/dl
血清インタクトPTH (i‐PTH):60~180 pg/ml