透析の話し

第17回 透析合併症《透析アミロイドーシス》

今回は、透析合併症《透析アミロイドーシス》についてお話しましょう。

β2ミクログロブリン(以下BMGと略します)は、腎不全になると腎臓での代謝が障害され、またダイアライザーから抜けにくい物質であるため、血液中に溜まって来ます。BMGが体内に蓄積するとアミロイドという繊維状の物質に変わって組織に沈着することで透析アミロイドーシスが起こります。アミロイドはのりのようなもので、一度くっついたら離れません。骨や関節に沈着すると、痛みや運動制限が出たり病的骨折を起こしたりします。手首のところで正中神経が圧迫されると親指から中指にかけてしびれや痛みが起こります(手根管症候群)。また全身の臓器、消化管や心臓などにもつき、下痢や不整脈の原因となったりします。残念ながら透析アミロイドーシスを完全に予防する手段や、すでに沈着したアミロイドを溶解する方法は現在のところありません。

治療としては、関節痛に対しては抗炎症薬、ステロイド薬などを使用します。疼痛と拘縮を予防するために、リハビリテーションや温熱療法も効果的と言われています。手根管症候群では、外科的に手根管解放術を行うことがあります。腎移植をすることによって、症状は改善します。

予防としては、原因物質であるBMGを蓄積させないことが重要です。それにはBMG除去効率に優れた生体適合性の良いダイアライザーを使用したり、透析液の清浄化を図ったり、血液透析濾過(HDF)へ変更したり、しっかり透析をすること等が有効です。また、BMG吸着カラム(リクセル)を用いた透析も行われています。

しかし、透析アミロイドーシスの原因や病態が完全に解明されているわけではありません。

だから、透析アミロイドーシスのすべてを解りやすく説明することは出来ませんが、気になる症状やデータがあれば先生や看護スタッフにどんどんお尋ね下さい。素朴な疑問、質問は心の奥に仕舞ったままでは消化不良になります。小さなことでも声に出して下さい。患者さんからのいろいろな声をお待ちしています。

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