透析の話し

第14回 食事療法のポイント その5《リン その2》

この透析関連シリーズも14回目となり、今回は前回に引き続いてリンのお話をしましょう。今回は、リンの上手なコントロールの仕方について考えてみましょう。

……と簡単に言ってはみたものの、リンはほとんどの食品に含まれており、そのコントロールは難しいものがあり患者さんはもとよりスタッフもその対応に苦しんでいるのが実情です。また、「良質な蛋白質を適正量とりましょう」…といってもどのくらいが適正量かわからないし、説明もむずかしい…困ったなと頭を悩ませてしまいます。

そこで私が力を借りたのが『ペットボトルはペットのボトル』という血液透析入門書でした。この本の中で著者は“リンのコントロールは透析患者さんにとって生命を左右する重要な課題”であると指摘しています(これについては次回にお話しましょう)。リンをコントロールするには《リンを下げる薬を正しく服用すること》と《間食食事療法》が必要だと述べています。リン値が5.5mg/dlを超えたらリンを下げる薬を服用する。それでも5.5以上なら間食やデザートを控える。それでも低くならなければ食事内容に気をつける…ということです。

《 間食食事療法 》 とは

  1. 食品添加物としてのリンを摂取しないようにする。なるべく間食をせずデザートもほどほどにして、調理された肉や魚で食事をきちんと食べることが良い。
    控えたい食品:洋菓子、和生菓子、チューイングガム、ビスケット、チョコレート、アイスクリーム、氷菓、チーズ、清涼飲料水(特にコーラ)、中華めん、テーブルロール、揚げパン、肉魚の加工食品(ハム、ソーセージ、かまぼこ、ちくわなど)、コンビニ弁当、インスタント食品など。
     
  2. 食品添加物としてのリンを摂取しないようにしてもリン値が5.5以上の場合、
    肉、魚介類、卵、乳製品、大豆製品(特に納豆)の中で多く摂取している食品を控える。

良質な蛋白質には、身体を作るために必要な栄養素がたくさん含まれていますので、適正量の良質蛋白質を摂取することは必要です。「リンが高いから食べない」…ということは良くありません。リンを下げる薬を忘れずきちんと服用し、身体に良くない食品添加物としてのリンを摂取しないようにこころがければリンはコントロール出来るものだということです。
控えたい食品の誘惑に負けずにきちんとリンをコントロールし、元気に透析生活を送りましょう。

*本の紹介

『ペットボトルはペットのボトル
      誰も苦しまない長生きのための血液透析入門書』

  著  者 : 矢花眞知子
  発行所 : 慧文社  
  定  価 : 本体1,800円+税

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