透析の話し

第13回 食事療法のポイント その4《リン その1》

皆さんが毎日の食事で気にするのはカリウムだけではなく、リンもあると思います。 リンは様々な食材に含まれ、特に肉や魚、卵、牛乳等蛋白質やカルシウムが多く含まれている食品にはリンも多く含まれており、なかなかコントロールが難しい…と日々悩んでいる患者さんも多いと思います。「食べたらダメ!」…と言うのは簡単なことですが、それでは食事は楽しくありません。 食べる楽しみを失わず、それでいて上手にリンをコントロールできるウマい手だてはないのでしょうか…。 皆で頭を悩ませて考えてみましょう。

“リンとは一体何者なのか”…まず、それを探ってみましょう。

とかく悪者にされがちなリンですが、リンは骨を強くしたり、細胞膜を作る基になったり、
エネルギー代謝に関与したり、細胞の機能を調整したりと重要な働きをしています。
成人の体にあるリンの総量は、体重の1%程度(500~800g)といわれています。そのうちの約80%は骨や歯に存在し、残りのほとんどが筋肉などの軟部組織などに存在しているため、血液中に存在するリンはわずか1%以下といわれています。リンの供給は腸管からの吸収のみで行われ、余分なリンは腎臓から排泄されます。だから腎不全となり腎臓が働かなくなるとリンがうまく排泄されず身体に溜まってしまいます。リンの値が少々高くなっても特に苦しくも痛くもないのでついつい油断をしてしまいます。しかし、高リン血症はかゆみを引き起こしたり、長期間ほっておくと二次性副甲状腺機能亢進症や腎性骨異栄養症、異所性石灰化(これらは別の機会にお話します)などの重篤な合併症を引き起こします。その為、高リン血症は「沈黙の殺し屋(サイレント キラー)」と呼ばれたりします。 高リン血症をあなどってはいけません。
皆さんが“元気で長生き”していただくためには、どうしてもリンのコントロールが不可欠です。

◆リン制限のポイント◆

  • 蛋白質やカルシウムが多く含まれている食品にはリンも多く含まれているので、摂り過ぎに注意
    しましょう。
     
  • リンは調理方法では減らすことは出来ません。リンの少ない食材を選んだり、量を調整(少なめに)
    したり、間食を控えるようにしましょう。
     
  • リンの腸管からの吸収を防ぐ目的で服用する炭酸カルシウム(カルタン)や塩酸セベラマー(フォスブ
    ロック)は、食べ物が胃の中にあるうちに服用しましょう。
    食事直前や食事中または食事直後等に忘れずに服用しましょう。

次回はもう少し詳しくリンの食事管理についてお話します。 >>リン その2を読む。

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