毎回の血液検査でリンやカリウムの値が高くて、受持ち看護師と共に頭を抱えている患者さんがいる一方で、“もう少し頑張って食べて欲しいな”…と思う低栄養の患者さんもいらっしゃいます。そのデータをたして2で割ったらみんな丁度いいのに…と思いつつも現実はそういう訳にいかないので、各受持ち看護師とよく話し合って打開策を見つけてください。何かありましたらいつでも声をおかけください。
さて、今月のクリニック便りは、シャント(血流豊富な動脈と静脈をつなぎ合わせて作ったバスキュラーアクセス)の《感染と出血》についてお話しましょう。
1. | シャント感染 | |
透析患者さんは、もともと身体の抵抗力が低下しているので感染を起こしやすい状況にあります。シャント感染を起こすと、それがシャント閉塞の原因になったり、感染がひどくなると全身に感染が広がり敗血症を起こし命に関わることにもなりかねません。 感染予防のコツは… |
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1. | 透析前には必ずシャント肢をきれいに洗って入室しましょう。 | |
2. | シャント肢に傷を作らない。発疹やカブレは早めに手当てをしましょう。 | |
3. | 透析した日の入浴は避けましょう。 | |
4. | 穿刺部に貼っているカットバンは翌日にははずして針穴を乾燥させましょう。 | |
★穿刺部の周りが赤く腫れる、熱っぽい、痛い、膿が出る、シャント肢に異常があって38℃以上の熱が出る等の徴候があればシャント感染を疑い、すぐにクリニックに連絡してください。
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2. | シャント出血 | |
透析中は血液を固まりにくくする薬剤(ヘパリン等)を使用するため、透析中や透析後しばらくは出血しやすい状態にあります。透析後、穿刺部の出血が一旦止まったように見えても再び出血することもあります。そんな時はあわてずに穿刺した場所を押さえていると必ず止まります。止血出来たらカットバンを貼って針穴を清潔に保護しておきましょう。なかなか止まらない場合はクリニックに連絡してください。 | ||
★誤ってシャント部を傷つけて大量出血した場合は、傷口をしっかり圧迫し、それでも止まらないようなら救急車で近くの病院で処置をしなければならない場合もあります。シャント部をぶつけたり傷つけたりしないよう日頃から気をつけましょう。 |
シャントは命綱です。朝夕シャントの流れを確認し、大事に扱い、大切に使って、長く良好な状態を保ちたいですね。